透明色の向こう側に見える棘-「ビブリア古書堂の事件手帳」- [books]
カバー絵とモチーフが本というところに惹かれて手に取ったのが始まり。
有名著名な本がキーポイントとなって謎が生まれそして解かれていく物語。
本にまつわる謎を解く名人たる古書店店主は、透明色をたたえて鎌倉という町に息づく。
平穏でどこかのどかさすら覚える日常の中にその姿を現す謎の数々、その事件(?)は警察の手を煩わせるほどのものから小さなものまでさまざまだが、意外にも棘が刺さって抜けない。
また明日からは日常にまぎれていくには違いないのだけど、解き明かされた謎は棘となってときにちくりと小さく痛みを与えてはその存在を忘れさせてはくれない、そんな毒にも似た何かを感じる。
本の虫であればあるほど随所に見え隠れする遊びにニヤリとするだろうし、またキーポイントとなった本そのものを読み返したくもなるだろう。
または鎌倉の風景に思いをはせ、散策したくなることもあるかもしれない。
「本は中に書かれている物語だけではなくて、本そのものに物語がある」、そんな言葉に煽られて、中古本屋さんではなく古書店に足を運んでみたい、そんな気にちょっとなってしまったのは、やはり自分も本の虫のはしくれだからだろうか。